細川護煕夫人の発言に、社会党が反発
1989年の参院選ではマドンナ旋風が起き、社会党が自民党に圧勝した。細川熊本知事の夫人は、参院選挙で当選した社会党の女性政治家たちについて「マドンナはマッド女」と発言したという。社会党は「中傷だ」として、自民党に質問状を送付した。
「マドンナ」は「マッド女」
後に首相に就任する細川護煕(もりひろ)氏は1989年、熊本県知事だった。
細川氏の夫人(妻)の細川佳代子氏(47)は、自民党熊本県連副会長だった。
参院選に当選した社会党の女性議員などを指して「マッド女ばかり」と中傷したという。
社会党熊本県本部(酒井善為委員長)は1989年12月12日、自民党熊本県連に対して、公開質問状を提出した。
質問状のあて先は、小材学・自民党熊本県連会長と、細川佳代子・副会長だった。
質問状では、発言の確認と真意をただした。
細川夫人の発言は、11月6日開かれた熊本県連婦人部大会のあいさつの一部だった。「マドンナ作戦で参院選に勝った社会党には真のマドンナはいない。マッド女ばかりだ。今後は真のマドンナのいる婦人部の発展に力を尽くしたい」という内容だったという。
ある評論家が雑誌で「(社党の女性たちが参院選で当選し)狂喜している様子はマッド女だと恐ろしくなった」などと書いていたのを引用したという。
「マッド」とは「気が狂う」という意味の英語だ。社会党は公開質問状を出すことにした。
公開質問状は「発言が事実なら社会党と社会党の女性議員に対してだけでなく、社会党を支持した国民と政治参加に努力している女性たちに対する冒とく」とした。
その上で、発言の確認と真意など5項目について1989年12月20日までに文書で回答するよう求めた。
公開質問状について細川副会長は「賢い女性としてしっかり勉強し、本当のマドンナになろうと婦人部を激励したのが真意。あいさつの一部を取り上げられたり、知事夫人であることと結び付けられることは残念だ」と話している。